温泉は含まれる成分によって様々な特徴があり、近代医学においても温泉の療養効果は高く評価されるようになりました。

各地の温泉の特色は泉質によって変わり、特に治療目的で利用される泉質は療養泉といわれる10種類。

その中でもアトピー改善に効果があるとされる主な泉質は、単純温泉・炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉・硫黄泉・酸性泉・放射能泉の8種類だといわれています。

薬による副作用の影響を憂慮することなくアトピー肌の改善に期待できるとして注目の温泉療法。

近代医学でも高く評価されている温泉の療養効果について、アトピーに効果的と言われる8種類の泉質それぞれの特徴について見ていきましょう。

低刺激で肌に優しい『単純温泉』

現在日本で一番多い温泉が単純温泉だといわれております。

温泉水に含まれる有効成分の含有量が少なく、無色透明で無味無臭のものが多く、体への刺激が少ないので子供から大人まで誰でも気軽に安心して入浴できる泉質として最も人気が高いことで知られます。

肌への刺激が優しく穏やかな分、他の泉質に比べて療養効果はやや物足りない感じがするかもしれませんが、胃腸が弱い人でも単純泉なら安心して飲泉できるといわれるのは、穏やかな泉質ならではのメリットだといえそうです。

アトピーに単純温泉が良いというのも、温泉成分の含有量が低く低刺激だからこそ肌に優しく安心して湯治を試すことができるからでしょう。

アトピーのように肌のコンディションが良くない場合、いくら効果がある温泉だとしても成分濃度が濃いと肌への刺激が強くて逆効果になってしまうことがあります。

ちなみに単純温泉とは、含有成分が一定量に達していない温泉水1kg中のガス性のものを除く溶存物質量が1,000mg未満、湧出時の泉温が25℃以上、pH8.5未満で、中〜弱アルカリ性のものを言います。

単純温泉でも‟美肌の湯“とか‟美人の湯”と呼ばれる温泉は、pH8.5以上の「アルカリ性単純温泉」であることが多く、入浴すると肌がスベスベする感触があるのが特徴です。

単純温泉の効能は一般適応症です。

疲労回復・冷え性・健康増進・疾後回復期・神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺における関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾など

美肌泉質で人気の『炭酸水素塩泉』

美人の湯などといわれる美肌泉質の代表的な泉質として知られる炭酸水素塩泉。

炭酸水素塩を含む温泉水で、入浴すると直ぐに肌が滑らかになるのが分かるくらいアルカリ性で少しヌルヌルしているのが特徴です。

炭酸水素塩とは、硬水中に含まれる炭酸水素カルシウムや重曹、入浴剤の成分である炭酸水素ナトリウムなどのこといいます。

一般的にアルカリ性の温泉は、皮膚の古い角質や毛穴の汚れを除去する効果があることから、肌がツルツルでなめらかになる‟美肌の湯”として人気があります。

こうした働きは皮膚から水分の発散を盛んにするので、入浴後は清涼感が得られ炭酸水素塩泉は‟清涼の湯”ともいわれます。

その分、入浴後は乾燥肌になりやすいので入浴後の肌の保湿には注意が必要です。

泉質に含まれるカルシウムが痒みを抑える働きがあることが、アトピー肌への効果が期待される主な理由といえます。

炭酸水素塩泉の効能は一般適応症に加え、美肌効果・慢性皮膚病・外傷・火傷にも効能が期待できます。

冷え症に効果的な熱の湯『塩化物泉』

以前は日本で最も多いといわれたのがこの塩化物泉で、日本国内に多く見られる泉質です。

食塩泉ともいわれ、海水の成分に似た食塩が溶け込んでいる温泉水です。

食塩が皮膚の表面をコーティングするので保温効果がよく、湯冷めしにくく体がとてもよく温まることから‟熱の湯”とも呼ばれ、塩化物泉は冷え性にもおすすめです。

アトピーは体温の影響を強く受けることが分かっており、冷えは自律神経のバランスを悪くするので大敵です。

保温効果や食塩の殺菌作用がアトピー肌の雑菌を消毒する効果がある塩化物泉は、皮膚疾患や外傷の治療効果も期待されます。

また、飲泉すると消化器の病気にも効果的です。

しかし食塩制限のある疾患や強食塩泉は害になる場合があるので、体調によっては飲泉を控えた方が良さそうです。

全国からアトピー湯治に訪れることで有名な皮膚科医推奨の豊富温泉の泉質は、この塩化物泉に分類されます。

豊富温泉についてはこのブログでも度々紹介していますので、興味のある方は参考にしてみて下さい。

塩化物泉の効能は一般適応症に加えて、慢性婦人病・慢性皮膚病・外傷火傷・にも効能が期待できます。

血流改善で傷の湯『硫酸塩泉』

抗炎症作用や抗アレルギー作用がある‟硫酸塩泉”は、飲泉可能の石膏泉(セッコウセン-カルシウム硫酸塩泉)・芒硝泉(ボウショウセン-ナトリウム硫酸塩泉)・正苦味泉(セイクミセン-マグネシウム硫酸塩泉)と、飲泉不可の明礬泉(ミョウバンセン-アルミニウム硫酸塩泉)があり特徴や効能が若干異なります。

基本的に硫酸塩泉は、硫酸イオンの働きにより血流が良くなるため高血圧症や動脈硬化症に効果的で、血行促進による温熱効果が痛みを和らげてくれる鎮静作用があるといわれます。

動脈硬化は脳卒中のような病気の原因になるため、動脈硬化症に効果的な硫酸塩泉は‟脳卒中の湯”ともいわれます。

石膏泉(カルシウム硫酸塩泉)は乾癬、蕁麻疹などの皮膚病にも効果が期待でき、カルシウムは皮膚の痒みを抑える効果があるのでアトピーの痒みにはとても効果的です。

石膏成分が肌の表面にうすく付着するので、肌をしっとりさらさらにする効果もあるようです。

飲泉では硫酸カルシウムが腸や胃などから吸収されると脂肪の酸化が高められます。そのため新陳代謝がよくなり便秘や肥満に良いといわれ、生活習慣病の改善効果が期待できます。

硫酸塩泉の効能は一般適応症に加えて、動脈硬化症・慢性皮膚病・外傷・火傷にも効能が期待できます。

鉄分の熱伝導効果で体が芯から温まる『含鉄泉』

鉄分を含んだ赤褐色に濁ったお湯が特徴の含鉄泉は‟赤湯の温泉”として親しまれています。

その名の通り鉄分を多く含む泉質で、鉄分の熱伝導率で体が芯からポカポカ温まるというのが一番の特徴です。

飲泉では鉄欠乏性貧血に効果的だといわれますが、多飲は禁物とされていますので注意が必要です。

飲泉は酸化前の無色透明の湯の時が良さそうですね。

月経障害などの女性に見られがちな症状を緩和させることから『婦人の湯』とも言われております。

皮膚疾患にも効果があるというのがアトピーに効果的といわれる所以だと思いますが、具体的なアトピーへの効果についてはよくわかりません。

含鉄泉の効能は一般適応症に加え、鉄欠乏性貧血や女性の婦人病にも効能が期待できます。

ジュクジュクしたアトピー肌には『硫黄泉』

硫化水素ガスの独特の臭いが特徴の『硫黄泉』。温泉法の泉質別適応症(浴用)にアトピー性皮膚炎と記されているのは、この硫黄泉と酸性泉です。

硫黄は解毒作用があり、殺菌効果が高く皮膚の角質層を柔らかくする働きがあるといわれます。

ただし角質と同時に皮脂も分解してしまうため、硫黄泉に浸かると強く乾燥するので乾燥肌の人には適さないかもしれません。

このようなことからアトピーでも肌がカサカサした状態の人にはデメリットとなってしまう場合があります。

どちらかというと、アトピーでも肌がジュクジュクの状態の時に好影響と言えるのではないでしょうか。

また硫黄泉は刺激も強いといわれるので、肌が弱い人や体の弱い人は避けたほうが無難でしょう。

硫黄泉の効能は一般適応症に加え、慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷、糖尿病など

強烈な刺激で殺菌効果が高い『酸性泉』

肌への刺激がとても強く、殺菌効果が最も優れた泉質が特徴の酸性泉。

そのため湯ただれを起こすこともあるので、入浴後はシャワーで洗い流したり皮膚の弱い人は入浴を避けるなどの注意が必要です。

また、湯ただれ防止策として入浴前は石鹸などで体を洗い過ぎて角質を取り過ぎないようにするなど、肌への配慮も必要かもしれません。

強い殺菌作用はニキビや水虫はもちろん、白癬症、疥癬、乾癬などの皮膚病にも効果が期待できます。

この優れた殺菌効果がアトピーに良いとされる理由です。

アトピー肌の悪化の原因の一つとして黄色ブドウ球菌の繁殖がありますが、黄色ブドウ球菌はアルカリ性の肌に強く、増殖することが分かっています。

肌が酸性の状態の時には増殖しないといわれ、皮膚に住み着く黄色ブドウ球菌の繁殖を殺菌作用の高い酸性泉によって抑えられることにより、アトピー肌の改善が期待できるのですね。

強い殺菌効果が特徴の酸性泉は皮膚病に特化した泉質といえそうです。

酸性泉の効能は一般適応症に加え、主に皮膚病に効果が期待できます。

温浴吸入が効果的な『放射能泉』

放射能物質のラドンやラジウムを含む泉質で、副腎皮質・脳下垂体の機能を高めることで万病に効果が期待できる『万病の湯』として親しまれます。

放射能泉という名前からして少し危険な感じがしますが、温泉中に含有されるラドンやトロンは気体なので、湧出後はすぐ空気中に散飛するため心配ないそうです。

ラドンは湯気による吸入が一番良いとされ、全身浴で有効成分が皮膚から吸収されて鎮静効果が働き、体内に入ってもすぐ呼吸で出ていくので、健康上の害はないといわれております。※1

温浴吸入によって皮膚や呼吸で体内に入り、自律神経を調整したり、収縮した血管を拡張する働きがあるため気管支炎や抗アレルギー効果が究明されているそうです。

アトピーへの効果については、低線量放射線ホルミシス効果による免疫細胞の活性化が、副腎ホルモンの分泌増加を促しアトピーなどの皮膚疾患の改善効果があるといわれるのが主な理由のようです。※2

しかし放射能泉は湯あたりを起こしやすいので、長湯には注意が必要です。

放射能泉の効能は一般適応症に加えて、痛風、高血圧症、動脈硬化症、慢性皮膚病、慢性婦人病、慢性胆嚢炎、胆石症など

放射能泉の参考

※1 放射能線の国際基準値
人が1年間で受けても問題ないとされる放射能線の国際基準値は500ミリレムとされ、ラドン泉に毎日入浴したとしても、1年間で受ける放射能線の量は約50ミリレムというので心配いりませんね。
※1 ホルミシス効果とは
ホルミシスの語源はギリシャ語のホルマオ(興奮するという意)に由来するそうで、少量の毒は刺激があるというような意味のようです。ホルミシス効果の意味を推測すると、過剰な量は体に良くないけれど、少量であれば体にとっていい刺激になり好影響というような感じでしょうか。

多岐にわたる温泉の魅力

温泉の療養効果は浴用や飲用によって様々な効果があることがわかります。

また効果的な温泉の効能を得るために、全身浴や部分浴など様々な入浴法があるのも温泉の魅力といえそうです。

肌への刺激などにを十分考慮して、ご自身に合った効果的な入浴を心がけて下さい。

弊社ではアトピー湯治で有名な豊富温泉の源泉から作られたスキンケア商品『肌うれし』シリーズを販売しております。

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