温泉の歴史と世界の温泉事情温泉は医療が未発達だった太古の時代から、ケガや病気を癒したり疲労回復に利用されていたといわれています。

万病に効くという名湯もあるほど温泉の効能は多岐にわたりますが、ヨーロッパでは温泉療養が医療行為として認められ、日本でいう健康保険が適用される国も多いです。

そのためヨーロッパでは治療目的で温泉を利用する人も多いようですが、世界一の温泉大国といわれる日本では、どちらかというと観光地としてのイメージが強いかもしれません。

そこで今回は、温泉の歴史と世界の温泉事情に触れてみましょう!

温泉のルーツは紀元前

温泉のルーツは紀元前そもそも温泉に浸かって体を癒すという習慣は、いつどこで始まったのでしょうか?

温泉のルーツは諸説ありますが、西洋文明誕生の地として知られる古代ギリシャから、古代ローマをルーツに持つ温泉が多いようです。

主に冷浴だったといわれる古代ギリシャの入浴習慣が、古代ローマ時代で温浴に変わって発展したといわれています。

そのためローマには、古代ローマ初の公衆浴場(テルマエ)と言われるアグリッパ浴場や、カラカラ(アントニヌス)浴場のような古代ローマ時代の大型公衆浴場の遺跡がいくつも残っています。

その後、絶大な力を誇った古代ローマ帝国が領土を拡大していくにつれて、ローマのような入浴施設がヨーロッパ各地に広がって行ったようです。

‟全ての風呂はローマに通ず”という映画(テルマエ・ロマエ)のキャッチコピーもしっくりきますね。

街全体が世界遺産に指定されたイギリスの観光地、バース(bath)には、現存する古代ローマ時代の浴場跡としては最も保存状態が良いと言われる「ローマン・バス」が有名ですが、「お風呂=バス(bath)」の語源は、この地に由来しているそうです。

温泉は紀元前から人々の癒しとなっていたのですね。

湯治場から独自の進化を遂げた日本の温泉文化

湯治場から発展していった日本の温泉文化日本では現存する最古の書といわれる「古事記」や、その数年後に書かれた「日本書紀」のような古い文献にも温泉についての記述が見られます。

当時の温泉は、主に病気の治療や健康の回復を目的とする‟湯治場”として栄え、古代から中世を経て、近世ではさまざまな形で温泉の文化が発展して各地に広がりました。

日本は地質的に活火山が多く、温泉の源泉に恵まれています。火をおこして大量の水を温めるということが大変だった時代に、自然に湧き出て病気やケガを癒してくれる温泉は、とても貴重で神聖なものとして崇められていたようです。

戦国時代のような乱世の時代には、戦で負傷した兵士の療養のために、戦国大名は領地に温泉を作っていたといわれています。

温泉に浸かって体を癒すという習慣は、日本でも古くから様々な形で利用されていた様子が伺えます。

どちらかというと現代の日本では観光地というイメージが強い温泉ですが、もとを辿れば湯治をする場所として利用されていたのですね。

現在でも湯治場として有名な温泉はたくさんありますが、時代と共に湯治場という限定的なイメージから、保養地や観光地として日本の温泉文化は独自の進化を遂げたきたようです。

温泉の医学利用が盛んなヨーロッパ

大まかな温泉の歴史が分かったところで、世界の温泉事情に目を向けてみましょう。

世界の地域によって温泉の利用傾向が少し異なるようですが、古代ローマ時代に温浴文化が各地に広がったヨーロッパでは、近世になると温泉の治癒力についての医学的な研究が進んで行きます。

その結果、温泉療法を医療の一環として認める国が増えて、病気の治療に利用されるようになります。

世界的にみても特にヨーロッパは温泉の医学利用が盛に行われており、自然環境や泉質などによって適応症や入浴方法が明確に定められている温泉地もあるようです。

専門医が常駐している温泉施設では、専門医の指導のもとで入浴だけではなく、飲泉などの温泉治療が行われています。

ヨーロッパでの温泉療法は長期滞在になることが普通で、温泉地にはホテルなどの宿泊施設や病院、スポーツジムや図書館などが併設された複合施設になっている温泉地もあります。

それぞれの症状に合った温泉治療が保険制度を利用して受けられるヨーロッパ諸国は、温泉療法の先進国といえそうですね。

しかし必ずしも医療目的で温泉利用されているかといえば決してそんなことはなく、ヨーロッパでも単に入浴を楽しんだり、リゾート地や社交場として活用されている温泉地も多いです。

また、ヨーロッパに限らず海外では、水着を着用して温泉に入るというのは珍しいことではありません。

世界一の温泉大国となった日本

世界一の温泉大国となった日本古くから独自の入浴文化を育んできた日本人にとって温泉はとても身近な存在であり、言うまでもなく日本人は大の温泉好きです。

もともと日本は活火山が多いという地質的な恩恵を受けて、自然に湧き出る温泉は古くから日本人の生活に欠かせないものとして親しまれてきました。

豊かな温泉資源に恵まれ、近年は掘削技術の進化によって非火山性の温泉も数多く存在するようになった日本は、世界一の温泉大国として知られています。

湯治を目的とする温泉地やリゾート地として人気の温泉が全国各地にあって、温泉へのニーズも多種多様です。

治療から癒しへ、湯治場から保養地へ様変わりした日本の温泉地は、病気を治すために滞在するというよりも、温泉地独特の風情をを味わいながらゆっくり過ごすという、日本独自の温泉文化をつくりだしました。

温泉の効能を感じながら、春夏秋冬、移ろいゆく自然に思いを馳せ、温泉宿の雰囲気や料理を楽しむ。これも素晴らしい日本の温泉文化だと思います。

アメリカの温泉はぬるめのプール?

アメリカの温泉アメリカというとあまり温泉のイメージがないかもしれませんが、先住民であるネイティブアメリカンは、傷や病気を癒すために温泉を利用していたようです。

アメリカのアーカンソー州には湯治場として栄えた温泉街、ホット・スプリングス国立公園があります。

ヨーロッパから移民が移住してくる前から、ネイティブアメリカンの湯治場として利用されていたホットスプリングスは、世界中から湯治客が集まるアメリカの温泉街として栄えていたようです。

このようにアメリカでも療養のために温泉が利用されていた時代もあったようですが、温泉が一つの文化として定着した日本とは違って温泉もそれほど多くはなく、泉質の効能を求めて温泉に入るという習慣はほとんどないようです。

日本のように熱いお湯にゆっくり浸かるというよりは、ぬるめの温泉プールで水着を着てくつろぐといった感じがアメリカでは一般的のようです。

まとめ

温泉の歴史を見てみると、ケガや病気を癒す湯治場として利用され始めたという点では世界的に共通しているようです。

その後、時代と共にさまざまな形で発展した温泉は、それぞれの国や地域で利用の目的は異なりますが、数千年経った現代においても人々の生活と密接な関係にあります。

裸で入浴するのが当たり前の日本人からすると少し違和感がありますが、世界的には水着を着て温泉に入る国の方が多いようですね。

同じ入浴という行為でも、やはり文化の違いがはっきりでますね。