大人アトピーアトピーは子どもの頃になるというのは昔の話、近年は大人になってからアトピーを発症する、成人型のアトピー性皮膚炎になる人も多いようです。

厚生労働省の「平成26年患者調査」では、アトピー性皮膚炎の年齢階級別の患者数を示しており、最も患者数が多い年齢層は1~4歳(5万8000人)で、その次が40~44歳(4万7000人)となっています。

時代と共にアトピー発症の要因も多様化して、子どもの頃にアトピーが治って大人になってまた発症する場合や、大人になってから突然アトピーを発症することもあるようです。

なぜ大人になってからアトピーが発症するのでしょうか?大人アトピーともいわれる、成人型アトピー性皮膚炎の原因と対策についてみていきましょう。

大人アトピー発症の主な原因は?

大人アトピー発症の原因日本皮膚科学会のガイドラインではアトピー性皮膚炎の原因については以下のように言及されています。

日本皮膚科学会ガイドラインでは、アトピー性皮膚炎は表皮、なかでも角層の異常に起因する皮膚の乾燥とバリアー機能異常という皮膚の生理学的異常を伴い、多彩な非特異的刺激反応および特異的アレルギー反応が関与して生じる。

引用元:wikipedia

また、遺伝子要因として以下のような一文が記されています。

日本人のアトピー性皮膚炎患者の約3割弱にフィラグリン遺伝子変異がみられる。フィラグリンは角層のバリア機能の形成や水分保持といった機能の蛋白である。フィラグリン遺伝子変異を有していると、2歳未満の若年発症が多い、より重症になりやすい、成長に伴い寛解しないといった傾向がみられる。

引用元:wikipedia

つまり、皮膚の乾燥とバリア機能異常が起因となり、フィラグリン遺伝子変異が見られると大人になっても寛解かんかいしない(治りずらい)傾向がみられるようです。

アトピーは様々な要因が重なって発症すると考えられていますが、アトピーは年齢に限らず突然発症するので、大人になってから突然アトピーになったからといっても特に不思議なことではないようです。

子どもの頃はストレスのない環境で伸び伸び育ち、元気いっぱいで過ごしていた人も、社会に出ると大半の人は必然的に生活環境が大きく変わると思います。

住む家や地域の変化に食生活の変化、また仕事上のストレスなど、ざっと考えるだけでも大人になってからアトピーを発症する要因は幾つも思い浮かびます。

また、子どもの頃のアトピーが成長と共に改善されたのに、大人になってからまたアトピーを発症するというケースもあるでしょう。この場合、思春期を迎える頃に一旦改善されたという人が多いのではないでしょうか。

子どもの頃は免疫力が低くて皮膚のバリア機能も弱いので、アトピーなどの皮膚疾患にもなりやすいと考えられますが、成長と共に免疫力は高まります。思春期に近づくと皮脂の分泌も活発になるので、肌は乾燥しにくくなります。

主にこのような理由で子どもの頃のアトピーが思春期頃に改善される場合も多いようですが、思春期を過ぎて皮脂が減ってくると、肌もだんだん乾燥しやすくなります。乾燥して敏感になった肌は外からの刺激を受けやすくなり、そこに色んな要因が重なって忘れていたアトピーが突然また発症するということになるのだと思われます。

もちろんそれだけが理由ではないですし、子どもの頃から良くなったり悪化したりを繰り返している人もいるでしょう。同じアトピー性皮膚炎でも子どものアトピーと大人のアトピーが発症する原因は異なっていることが多く、大人アトピーの発症にはストレスが大きく関係しているといわれています。

また、偏った食習慣で食生活が乱れたり、不規則な生活で睡眠不足になったりして、知らず知らずのうちに体に異変をきたしていることも考えられます。

大人アトピー(成人型のアトピー性皮膚炎)の場合、まずは自分の生活スタイルを見つめ直す必要があるかもしれません。

大人アトピーの主な原因
  • 生活習慣の変化によるストレス
  • バランスの悪い偏った食生活
  • 不規則な生活による睡眠不足
  • 皮脂の分泌低下による肌の乾燥

妊娠出産で大人アトピーが発症

成人型アトピー女性の場合、妊娠出産を機にホルモンバランスが崩れてアトピーを引き起こすことがあるといわれます。

また、妊娠すると今まで食べていたものが食べられなくなったり、その逆で今まであまり食べていなかったものを過度に食べるようになるなど、極端に食生活が変わる人もいるようです。そのような変化に体が異変を感じ、過剰に反応してアトピーを発症してしまうことがあるようです。

女性は20代後半から皮脂の分泌が減って皮脂膜の形成が不十分になったり、加齢によるコラーゲンなどの保湿成分が不足してしまうということも影響して肌が乾燥しやすくなってしまいます。

健康な肌の一番外側は皮脂膜で覆われていて、皮脂膜は外からの刺激を防ぐバリア機能の役割を果たしています。乾燥などが原因で皮脂膜が不十分になると皮膚に隙間が出来てしまうので、本来は入って来てほしくないダニなどのアレルゲンが侵入しやすくなり、様々な刺激によってアトピー発症のリスクが高まってしまいます。

日頃から適度に肌の保湿を心がけてアトピー発症のリスクを低くすることが、健康な肌を保つ秘けつといえそうです。

大人アトピー対策その① ストレス発散

大人アトピー対策 ストレス発散日々多くのストレスに晒される現代において、ストレス発散はとても大事です。

アトピーは乾燥肌体質にストレスが引き金となり発症する場合が多いようですが、子どもの頃に比べて大人のストレスは職場の人間関係が原因になるなど、色々なことが複雑に重なり合っていることが多く、気付いていてもストレスの原因をすぐに取り除けないということの方が多いかもしれません。

ストレスを受けると体内でストレス性ホルモンが分泌されて免疫の過剰反応が起きてしまいます。アトピーはストレス性ホルモンなどによって皮膚の免疫機能が異常になって、かゆみや湿疹を引き起こすと考えられています。

ストレスを溜め込こんで皮膚の免疫機能が下がった肌は、少しの刺激にも敏感に反応してしまいます。

すぐにストレスの原因を取り除くことができなくても、気が合う友達と楽しい時間を過ごしたり、趣味に没頭するなど、ストレスは溜め込まないようにしなくてはいけません。

笑うと免疫力が上がったり自律神経のバランスが整うなどの効果もあるので、アトピーにも効果的です。時には適度に羽目を外してストレスを解消しましょう!

大人アトピー対策その② 適度な保湿

大人アトピー対策 保湿クリームアトピーはとにかく肌を乾燥させないことが大事です。そのため日頃から保湿対策は必須です。乾燥は痒みを誘発するので、掻くことにより皮膚が悪化してしまい、酷くなると皮膚がケロイド状になってしまいます。

皮膚がケロイド状にまで悪化すると、正常な状態にはなかなか戻れなくなってしまうので、乾燥する前に適度な保湿を保たなければいけません。乾燥肌そのものを改善するのは難しくても、乾燥肌に対する保湿ケアは自分でもできるはずです。

アトピー先進国のドイツでは、乾燥して痒みが出たらハンカチやタオルを濡らして患部を冷やしたり、皮膚に良い成分が含まれたスプレーを持ち歩いて痒みを抑えているそうです。

そして痒みが治まったら必ずステロイドが入っていない天然成分の保湿クリームを塗って保湿ケアをするそうで、ドイツはアトピーの発症率が日本より高いにもかかわらず、完治率がとても高いことで知られています。

ドイツのアトピー治療についてはこちらの記事『アトピー治療 ドイツと日本の違い』でも詳しく書いておりますので、興味のある方は参考にしてみて下さい。

大人アトピー対策その③ 生活スタイルを見直す

大人になって社会に出ると何かと忙しく、つい自分の生活が疎かになってしまいがちです。偏った食習慣で食生活が乱れたり、不規則な生活で睡眠不足になったりして、知らず知らずのうちに体に異変をきたしていることもあるでしょう。

大人アトピーの場合、まずは自分の生活スタイルを見つめ直すことも大事です。

部屋は清潔に

アトピー肌はダニなどのアレルゲンに敏感に反応してしまいます。部屋の方付けが苦手な人も多いようですが、不衛生な部屋はアトピー発症の要因となるハウスダストやダニなどのアレルゲンが発生しやすくなります。

部屋は掃除して清潔に保ち、アレルゲンが発生しにくい生活環境を整えましょう。

バランスの良い食生活を心がける

好き嫌いが多い人は偏った食事になりがちです。動物性脂肪や食品添加物が多く含まれているものはアトピー悪化の原因にもなるといわれています。

コンビニやスーパーの食品には添加物が含まれている物が多いので、便利だからといってコンビニやスーパーのものばかり食べているのは良くない傾向です。肉ばかり食べて動物性脂肪の量を多く取り過ぎてしまうこともあるでしょう。

また、大人アトピーの特徴として、香辛料などの刺激物を食べることによってアトピーが発症することもあるそうです。子どもの頃は食べなかった刺激物をアレルゲンとみなして免疫が過剰に働いたり、刺激物は内臓に負担がかかるため免疫機能が正常に働かなくなってしまうようです。

辛い物が好きで香辛料を大量に入れて食べるのが好きという方は要注意ですね。

しかしあれもこれも食べられないとなるとストレスになってしまうこともあるので、アトピーの症状が出ているときは我慢して、症状が落ち着いたら肌の状態をみながら少しずつ食べるようにするなどの工夫が必要かもしれません。

十分な睡眠をとる

何かと忙しい現代では、慢性的に睡眠不足の人が増えているようですが、睡眠不足はアトピーに悪影響です。

睡眠中は成長ホルモンが分泌されて、傷ついた肌の修復をしてくれるのですが、睡眠不足だと成長ホルモンが分泌されずアトピー発症のリスクが高まるのだそうです。

不規則な生活を見直して、なるべく7時間以上の睡眠をとるように心がけましょう。

大人アトピーの改善にはセルフケア意識が大事

子どものアトピーに比べ、成人型のアトピー性皮膚炎は再発を繰り返して慢性化しやすい傾向があるようです。アトピー発症の要因も子どもに比べて複雑で多様化しているので、原因を特定するのが困難で有効な対処法がなかなか見つからないといわれます。

症状によっては専門医に診てもらう必要があると思いますが、食習慣を含む生活習慣を見直したり、保湿によるスキンケアを意識的に行うことで、少なからずアトピーの症状を軽減することはできるのではないでしょうか。

大人アトピーの改善には、日頃からセルフケア意識をしっかり持って、アトピー発症の要因を一つでも少なくすることが大切です。