アトピー和食アレルギー性の難治性皮膚疾患の一つとされているアトピー性皮膚炎。

アトピーの原因は解明されていないことが多いですが、「チョコレートを食べるとアトピーが悪化する」など、ある特定の食べ物がアトピーの原因となるということを見たり聞いたりする機会も多いのではないでしょうか。

そこで今回はアトピーと食事の関係について、アレルギー疾患の観点から離れて、栄養学的な観点からアトピーの解説をされている、医学博士の永田良隆医師の著書「アトピーは和食で治せ!」という本をご紹介します。

アトピーは食の欧米化が原因?

アトピー発症の原因は食の欧米化が原因だと聞くことがよくあります。日本は昭和40年代頃に入ると、油をたっぷり使った肉料理などの洋風な食事やインスタント食品が流行り、日本人の食生活は急激に変化していきます。

「野菜や魚介類中心」の食事から「肉や乳製品などの動物性脂肪や油」を多く含んだ食生活に代わり、それまではほとんど見られなかったアトピー性皮膚炎の症状が目立ってきたようです。

こうしたことから欧米型の食生活がアトピー性皮膚炎の原因の一つと考えられているようです。

アトピーは和食で治せ!

アトピーは和食で治せ医学博士の永田良隆医師の著書「アトピーは和食で治せ!」では、アトピーの主な要因として植物油と過剰な動物性タンパク質の摂取が指摘されています。

その中でも最大の要因は「植物油」で、近年の研究では洋食で多く使われている「牛乳・鶏卵・肉と植物油」には、体をアレルギー・炎症体質にする作用があるそうで、一方、和食で多く使用される「野菜や根菜類・魚介類」には、それを防ぐ作用があるということが分かってきたようです。

野菜や海藻に含まれるαリノレン酸や、魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの成分が、アレルギー・炎症を鎮めるようです。

毎日の食事の基本を昭和30年代頃をイメージした食事に戻すことで、体のベースをアレルギーに負けない体質にしていくという、実践しやすい食事療法を取り入れたのだそうです。

このような観点から栄養士さんや患者さんと協力して和食の調理法を研究し、食事療法を改善していき、これまでに1万例以上の症例の約8割において、ほぼ満足のいく結果を得ることができたそうです。

アトピーはなぜ和食で治すことができるのか?

アトピーはなぜ和食で治すことができるのかということについて、この本では栄養学的な観点から重要な二つのポイントが取り上げられていますので、一部を抜粋してご紹介します。

ポイントその①

一つ目のポイントは「食べ物にはアレルギー反応を促進する食べ物と、アレルギー反応を抑える食べ物がある」ということです。

健康を左右する食事と関連が深い脂肪酸にn-3(オメガ3)系脂肪酸とn-6(オメガ6)系脂肪酸があり、この二つの脂肪酸のどちらかが優位になるかでアレルギー反応が起こるか否かが決まるのだそうです。

n-6(オメガ6)系脂肪酸が優位になるとアレルギー反応が促進されてしまい、n-3(オメガ3)系脂肪酸が優位であればアレルギー反応は抑制されるようです。

n-6(オメガ6)系脂肪酸やn-3(オメガ3)系脂肪酸が含まれている食品は以下の通りです。

n-6(オメガ6)系脂肪酸が含まれている食品
n-6(オメガ6)系脂肪酸は、リノール酸とアラキドン酸。食用油やサラダ油、植物油全般、マーガリン、ショートニングなどはほとんどがリノール酸で、肉類や卵はアラキドン酸。
n-3(オメガ3)系脂肪酸が含まれている食品
n-3(オメガ3))系脂肪酸は、αリノレン酸とエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)。αリノレン酸は野菜類や海藻類に多く含まれていて、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)は、魚類(特に青魚)に多く含まれています。

ポイントその②

二つ目のポイントは「過剰に摂取して十分に処理できなかった‟余分な産物”が、皮膚や気道(呼吸器系)に排泄されて、現代医学でアレルギー疾患と呼ばれている皮膚疾患や呼吸器疾患を引き起こしている」ということです。

栄養価が高いからといって、毎日「牛乳・卵・肉類」などの高たんぱくな食品を過剰に摂取すると、大きな消化能力が必要になります。大人に比べて消化能力が未熟な乳幼児が日常的に高タンパクな食事を摂取していると、十分に処理できなくなってしまうそうです。

その結果、栄養源とならない余分な産物(ポリペプチド)が大量に体の組織に運ばれることになり、いろいろな臓器や組織の正常な作用を妨げ、皮膚系に排泄されるとアトピーなどの皮膚疾患を引き起こす原因となると考えられているようです。

同じタンパク質でも和食の「魚介類や豆類」は消化しやすいため、余分な産物(ポリペプチド)が少なくなるのですね。

食事療法は誰でも家庭で実践できる自然療法

今回はアトピーと食事の関係について焦点を当ててみましたが、食生活を見直してアトピーが改善されたという人は多いようです。食事療法を実践して、改善の様子を公開している人のブログなども見かけるようになりました。

アトピーの悩みを解決するきっかけになるかもしれないと思い、「アトピーは和食で治せ!」という本の内容から、一部分を抜粋させていただきました。

本の内容のごく一部分しか紹介できませんでしたが、医学博士ならではの深い知見と説得力があり、食事療法に興味がある人にはとても参考になる本だと思います。

アトピー性皮膚炎に対しての栄養学的なアプローチからステロイド剤の使い方、実践的なQ&Aも紹介されており、アトピーに対してのアプローチをアレルギー疾患の観点から離れて、栄養学的な観点から解説されています。

著者である永田良隆先生は、他にもアトピーと食に関する「油を断てばアトピーはここまで治る」という本も書かれているので、食事療法に興味がある人はぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。